年齢を重ねるごとに人の外見は少しずつ変化していきます。ある日ふと鏡を見て、顔のたるみやしわ、しみなどが気になった経験がある方もおられるでしょう。
この記事では50代の顔のたるみに焦点を当て、原因と対策を解説します。肌のハリを保つのに役立つマッサージもいくつか紹介しますので、できることから始めていきましょう。
※なお本記事は、弊社から監修者に依頼し、いただいたコメントを編集して掲載しています。
50代女性が感じやすい「顔のたるみ」とは?

50代の女性の多くは、美容に関してなんらかのお悩みを抱えています。肌のお悩みを聞くと、しみやしわと並んで顔のたるみを気にしている方が非常に多いです。
たるみとは、皮膚が垂れ下がっている状態をさします。ここではまず顔のたるみが生じる原因をまとめました。
肌の水分・ハリ不足
人の皮膚は、上から順に表皮、真皮(しんぴ)、皮下組織という3層構造になっています。このうち真皮にはコラーゲンやエラスチンが含まれており、これらは肌の水分量を保つのに重要な美容成分です。
コラーゲンやエラスチンは、加齢とともに少しずつ減少していくことが分かっています。結果、肌に含まれる水分は減り、肌のハリが失われていくことが、顔にたるみが生じる大きな原因の1つです。
紫外線によるダメージ
紫外線には、皮膚の真皮でつくられるコラーゲンを破壊する作用があるといわれています。紫外線の影響によって肌にもたらされる変化を「光老化」と呼び、具体的な症状としてはたるみ、しみやしわなどが挙げられます。
コラーゲンは、ただでさえ加齢に伴って減少していく成分です。これにくわえて紫外線によるダメージも重なれば、肌の老化はどんどん進んでしまいます。
表情筋の衰え
顔のたるみは、顔のパーツを動かすための筋肉である「表情筋」の衰えによっても引き起こされます。
また、前述したコラーゲンも筋肉にも関係する成分で、これには丈夫な筋肉や健をつくる役割もあるとされています。
加齢に伴って体内のコラーゲンが減少することも、表情筋の衰えを加速させ、皮膚を持ち上げる力を弱めさせる要因の1つです。
姿勢のクセ
日頃の姿勢にも注意が必要です。悪い姿勢によって肩や背中、首がこることで血流が滞ると、顔まわりに老廃物が溜まりやすくなります。
また、猫背やストレートネックにより、顔が前に突き出す姿勢にも要注意。顔に重力がかかりやすくなるため、フェイスラインがたるむ原因となります。
表情や仕草のクセ
口元には口角を下へ引っ張る役割を持つ「口角下制筋(こうかくかせいきん)」という筋肉があります。歯ぎしりのクセがある方は口角下制筋が発達しやすく、顔のたるみやほうれい線が出やすくなることがあります。
また、無表情で過ごす時間が多い方は表情筋が衰えやすいため、注意が必要です。意識して口角を上げて笑顔をつくったり、後述するたるみ対策のマッサージを習慣にしたりしながら、表情筋を動かすクセをつけましょう。
舌の位置が正しくない
いま、あなたの舌は口の中のどこにありますか?口を閉じているときの舌は、上顎にべったりくっついているのが正しい位置です。
口を閉じているときに舌が上下の歯の裏にくっついている、口内の下側に収まっている、口の中のどこにも触れないという状態は、舌の筋肉を衰えさせる可能性が。フェイスラインのたるみや二重あごの原因になるため注意しましょう。
女性ホルモンの変化
骨の強度が低下し、骨折しやすくなってしまう骨粗鬆症は、年齢を重ねた女性に多い疾患です。
骨粗鬆症になる原因はさまざまですが、1つに女性ホルモンの変化が挙げられます。
女性には月経があり、1ヵ月の中でもホルモンの分泌量が大きく変動します。さらに閉経後は女性ホルモンの1種であるエストロゲンの分泌量が大きく減少し、女性の心身にさまざまな変化をもたらすことに。
顔のたるみに影響する変化の1つが、エストロゲンの減少によって生じる“骨やせ(骨の密度や体積が減少する状態)”です。
骨やせが起こると、骨の上にある筋肉や皮膚が支えをなくして垂れ下がります。結果、顔がたるんだり、目元がくぼんだり、頬がこけたりと外見に影響を及ぼしてしまうのです。
50代女性が無理なく続けやすい顔のたるみ対策マッサージ

顔のたるみ対策にはマッサージもおすすめです。簡単で継続しやすいマッサージやトレーニングの方法をいくつか紹介します。
表情筋を意識した簡単マッサージ
表情筋を意識的に動かし、鍛えることは顔のたるみ対策に効果的です。簡単なトレーニングとマッサージとして、以下の2つを紹介します。
■口を膨らませるトレーニング
口元から頬まわりの筋肉を鍛えるのに効果的です。テレビを見ながらでも、家事の最中にも実践できます。
- 口いっぱいに空気を溜め、右頬、左頬、口の上側、口の下側の順番にそれぞれ空気を移動させながら膨らませます。それぞれ5秒ずつキープしましょう。
- 上記の4方向を膨らませるのを1セットとし、スキマ時間などを利用して1日3セット実施することを目指してください。
■咬筋つまみマッサージ
「咬筋(こうきん)」とは頬にあり、食べ物を咀嚼するのに使う強い筋肉です。凝りやすい筋肉なので意識的にほぐしてあげましょう。
- 左手で右頬をつかみます。口角を上げたときほうれい線ができる部分に親指を、右のエラに人差し指を引っ掛けてしっかりつかみ、そのまま口を「あ」「う」の形で5~6回開閉しましょう。痛気持ちいいと感じる力加減で行ってください。
- 親指を少し下へずらし、1と同じ動作をします。
- もう一度親指を少し下へずらし、1を繰り返したら右頬は完了です。
- 左頬でも1~3の動作を行います。
首や肩のこりをほぐしてフェイスラインもすっきり
仕事ではパソコンを、日常生活ではスマホを使いこなす現代人は、多くが肩や首のこりに悩まされています。
姿勢の悪さも首こりや肩こりを悪化させる大きな要因です。首や肩の筋肉が張っている、硬くなっている、重だるい感じがある方は、以下のマッサージをお試しください。
- 首を動かす役割がある筋肉である「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」をほぐします。首の後ろに両手の親指以外の指を添え、親指は耳の下~鎖骨のちょうど真ん中あたりに押しつけましょう。
- その姿勢のまま首を横、縦にゆっくりと数回動かしていください。滞っているリンパの流れがよくなり、首から肩にかけてこりが和らぎます。
舌の筋肉を鍛えるトレーニング
舌を鍛えることは顔のたるみや二重あごの対策としておすすめです。毎日気付いたときに以下のトレーニングを実践してください。
- 人差し指が入る程度に口を開き、舌を上顎にぎゅっと押し付けます。
- 力を入れたまま10秒キープしましょう。
- 舌の力を抜いて5秒休憩したら、再び舌で上顎をぐっと押し上げます。これを3回繰り返してください。
「あいうえお」で口元のストレッチ&トレーニング
口周辺の筋肉を鍛えるには「あいうえお体操」が効果的です。座っていても横になっていてもできるので、リラックスタイムや寝る前の習慣にしてはいかがですか?
- 口を大きく動かしながら、「あいうえお」の形を作ります。まずはゆっくり大きな口で「あ」、口角を上げることを意識しながら「い」、唇を突き出して「う」、口角を上げながら「え」、最後に唇にすぼめて「お」。
- 1音につき5秒ずつ行い、5回ほど「あいうえお」を繰り返しましょう。口まわりが重く、だるく感じれば筋肉に負荷がかかっている証拠です。
50代女性がマッサージと一緒に取り入れたいスキンケア

顔のたるみ対策には毎日のスキンケアも重要です。たるみが気になる50代の女性に意識していただきたい、スキンケアのポイントをまとめました。
保湿ケアの重要性
毎日のスキンケアで使う化粧水や美容液、クリームは保湿を重視したものを選びましょう。
加齢とともにコラーゲンやエラスチンが減少した肌は、非常に乾燥しやすい状態になっています。これらの成分にくわえて以下の美容成分もたるみ対策に効果的ですので、商品選びの参考になさってください。
・ヒアルロン酸:肌に潤いや弾力を与える効果が期待される
・ナイアシンアミド:ハリとツヤがある、透明感のある肌づくりをサポートする
・プラセンタ:肌にハリと弾力を与える効果や、保湿効果が期待できる
紫外線対策
紫外線は肌の老化を加速させる天敵です。紫外線が強い春先から夏はもちろん、できれば1年間を通して紫外線対策を行いましょう。
曇りの日や雨の日にも紫外線は降り注いでいます。室内にいても窓から紫外線は入ってきますので、外出しない日も日焼け止めは塗っておくと安心です。
紫外線の量がピークになる時期にはこまめに日焼け止めクリームを塗り直す、日傘や帽子を使用するなど、徹底した紫外線対策を心がけてください。
肌への摩擦を極力抑える
洗顔のときに顔をゴシゴシとこする行為は肌への刺激が強すぎます。洗顔する際はまず洗顔料を充分に泡立て、肌の表面に泡をすべらせるように洗いましょう。
顔まわりをマッサージする際はあらかじめ美容液やクリームを顔に塗り、摩擦が起こりにくくしてから行ってください。
目をこするクセや頬杖をつくクセも肌に圧をかけます。皮膚が伸びたり筋肉が緩んだりする可能性があるため、やってはいけません。
“食べるスキンケア”も意識して
肌の健康を維持するためには、食事から必要な栄養素を接種することも大切です。以下の表には、たるみ対策におすすめしたい栄養素と効果をまとめました。
栄養素 | 期待できる効果 | この栄養素が含まれる食べ物 |
たんぱく質 | 皮膚の材料になり、肌に弾力やハリを与えるといわれる。 | 肉類、魚介類、大豆・大豆製品、卵、乳製品など |
ビタミンC | コラーゲンの生成をサポートする。 | 果物、緑黄色野菜 |
大豆イソフラボン | 女性ホルモンであるエストロゲンに似た働きをし、肌の潤いやハリを保つ効果が期待できる。 | 納豆、豆乳、豆腐など大豆製品 |
カルシウム | 骨を形成する成分。50代の骨粗鬆症予防のため、積極的に摂取することが望まれる。 | 牛乳、チーズなどの乳製品、小魚、大豆製品、小松菜、ひじきなど |
顔のたるみが気になるときは、体の中から対策することも重要です。これらの栄養素が含まれる食材を毎日の食事に取り入れてみてください。
肌にやさしいクリームや化粧品の選び方
スキンケアは毎日行うものですから、基礎化粧品は肌にやさしいものを選びたいですよね。
商品を選ぶ際は忘れずに成分一覧を確認し、これらの成分の記載があるかどうか確認してみてください。
・パラベン
・エタノール
・石油系合成界面活性剤
・合成着色料
・合成香料
・シリコン
・紫外線吸収剤
これらの成分は、世に出回っている多くの化粧品に配合されています。しかし、人によっては刺激を感じたり、アレルギー症状が出たりすることも。
安心して長く使い続けるためには、これらの成分が含まれない美容液やクリームを選ぶことも大切です。
美容液で“年齢肌サイン”をやさしくサポート
長らく同じ基礎化粧品を使い続ける中で、あるときふと使い心地に違和感を覚えた経験はありませんか?それは肌から発せられた“年齢肌サイン”かもしれません。
化粧品や美容液、クリームなどの基礎化粧品は、年齢や肌のお悩みに応じて変えていくことが大切です。
50代と20~30代では、肌の状態も抱えやすい肌トラブルも違います。顔のたるみにお悩みであれば、たるみ対策に特化した医薬部外品の美容液やクリームを選ぶことも検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
顔のたるみは見た目年齢を左右し、他人の目にもつきやすいため、多くの女性にとって悩みの種になりがちです。
「一度たるんだ皮膚は戻らない」と考えている方も多いかもしれません。
しかし、マッサージにスキンケアなど顔のたるみ対策のためにできることはたくさんあります。50代になり顔のたるみが気になり始めた方は、今回の記事を参考にたるみ対策を始めてみてはいかがでしょうか?